大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岐阜地方裁判所 昭和46年(わ)44号 判決

本籍

岐阜市問屋町四丁目三番地

住居

同市沖の橋町一丁目二八番地

子供服製造販売業

森岡茂夫

大正八年二月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は、検察官山岸赳夫出席の上審埋を遂げ、次の通り判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金二五〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は昭和三二年頃から肩書住居に店舗を設け、森岡商店の屋号で子供服の製造及び卸販売業を営んでいるものであるが、娘の結婚資金や老後の生活資金を貯える為所得税を免れようと企て、売上の一部を除外したり架空仕入を計上する等の不正の行為により所得の一部を秘匿した上、

第一、昭和四二年分の所得金額が一一、〇四五、七五七円であり、これに対する所得税額が、四、四二六、九〇〇円であるのに、昭和四三年三月一五日所轄の岐阜北税務署で、同署長に対し、所得金額が一、四〇四、四三七円であり、これに対する所得税額が一五八、一〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、困つて同年分の所得税四、二六八、八〇〇円を免れ、

第二、昭和四三年分の所得金額が一六、一六一、八〇〇円であり、これに対する所得税額が七、二二五、一〇〇円であるのに、昭和四四年三月一五日右所轄税務署で、同署長に対し、所得金額が、二、〇四三、二二五円であり、これに対する所得税額が三一七、四〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、困つて同年分の所得税六、九〇七、七〇〇円を免れた。

(証拠)

全事実につき

一、被告人の当公延に於ける供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書八通

一、山口末男の検察官に対する供述調書

一、山口末男の大蔵事務官に対する昭和四四年九月九日付、同月一九日付、同年一二月八日付昭和四五年四月一〇日付各質問てん末書

一、河野志朗、中川原司、長谷川峯子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、佐藤聡の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

第一事実につき

一、岐阜北税務署長作成の証明書二通(昭和二年分所得税確定申告に関するもの)

一、山口末男の大蔵事務官に対する昭和四五年七月四日付、同月六日付、同月一〇日付、同年八月一七日付各質問てん末書

一、十六銀行問屋町支店長作成の証明書

一、押収の元帳一綴(証第二一号)

第二事実につき

一、岐阜北税務署長作成の証明書二通(昭和四三年分所得税確定申告に関するもの)

一、日本勘業銀行岐阜支店長作成の証明書

一、岐阜相互銀行駅前支店長作成の証明書

一、押収の元帳一綴(証第二三号)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法第二三八条第一項に該当するから所定刑中併科刑を選択するところ、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罰金額を合算した刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役四月及び罰金二五〇万円に処し、右罰金を完納できないときは同法第一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

(裁判官 平谷新五)

右は謄本である

昭和四七年一月一四日

岐阜地方検察庁

検察事務官 林新郎

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例